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Track 02:乙女の決意
シーン2 /美容サロン店内・夕方
SE : 主人公が勢いよく店のドアを開け
店内に入り、ドアがしまる音
SE : 主人公に近づくアサギの足音
アサギ:
「悪いが今日は店の定休日だ。
アポがないなら、帰ってもらおうか。
っておいちょっと待て、
話はまだ終わってないぞ……!」
SE : チハルの元へ早足で向かう主人公の足音
SE : 追いかけるアサギの足音
SE : 主人公がチハルが座っている机を
ドンッと叩く音
チハル:
「うおっ! ってお前、
この前ファミレスで会った
ドカ食い女……!」
ジュン:
「チハル、知り合い……?
ずいぶんとトケトゲした雰囲気だけど、
彼女と何があったの?」
チハル:
「……いや、なんつーか成り行きでちょっとな。
つーか、お前。
いきなりアポなしで店に来て、
今すぐ美人にしろって無茶苦茶言うなよ……
って、おい。いきなり泣くな……!」
カオル:
「ちーくん、JK 泣かせたらダメだよー」
アサギ:
「そうだぞ、面倒臭い」
チハル:
「カオルにアサギ、二人ともうるせぇぞ。
つーかこれ、俺のせいじゃねぇだろ……」
SE : ジュンが
近くのティッシュボックスを手に取る音
SE : 主人公に近づくジュンの足音
ジュン:
「なんだかとても切羽詰まった感じだね、
お嬢さん。
良かったら僕らに、
事情を話してくれないかな?」
SE : 差し出されたティッシュボックスから
ティッシュをとり、
涙をぬぐう主人公の音
ジュン:
「……なるほど。
わざと気があるふりをして女の子に告白させて笑い者にするゲームねえ。
最近の子はろくでもないね」
アサギ:
「で、見返すために
文化祭で美人コンテストに
出場することにしたと。
こう言っては悪いが、
どう考えても
今の君じゃ入賞は難しいだろう。
そのスライムみたいなポヨヨン体型では」
カオル:
「あっくん言い方~!
あーもう本当にゴメンね?
あっくん毒舌だから気にしないで~!」
ジュン:
「そうだよ、
アサギの言ったことは気にしないで。
君くらいの年の子なら、
今くらいの体型の方が健康的だよ」
チハル:
「いや、ジュン。
どう見たって平均体重越えてるし、
健康的ではないだろ。
しかも美人コンテストに出場するとか、
なに考えてんだよ」
SE : 主人公が鼻をかむ音
チハル:
「……バカにされて悔しいなら
磨いて見返してやりればいいって
俺に言われたから、ってお前……」
SE : チハルが頭をガシガシかく音
チハル:
「あーったく、しょーがねーな!
その文化祭とやらはいつなんだよ?
は? 3か月後?
痩せるにしても、時間が無さすぎ……」
SE : ティッシュケースを
チハルの顔に投げつける音
チハル:
「ぶっ!
……てっめぇ、いってぇじゃねーか」
SE : チハルが椅子から立ち上がる音
チハル
「あん?
本気で変わる覚悟があるんなら、
力を貸すって俺が言ったから
頼ったのに……って?
う……、お前、そこでそれを出すのかよ……。
はあーっ!」
SE : チハルが椅子にドカっと座る音
ジュン:
「3か月後ってことは、
まだ少し時間があるね。
俺たちも何か、
協力できることがあったら
してあげたいけど……」
アサギ:
「ジュン、こっちを見るな。
わかってる、料金のことだろう」
ジュン:
「なんとかならない?」
カオル:
「あっくん、俺からもお願い!
この子の事情聞いちゃったら、
なんか協力してあげたくなっちゃったし、ね?
あっくんだってそうでしょ?」
アサギ:
「……確かに事情を聴いた今、
協力したいのは山々だが。
こちらとしても、
料金体型を変えるわけにはいかないぞ、
生活があるんだしな。
とはいえ、女子高生からウン十万も
金を巻き上げるのは気が引ける。
そうだな……、
モニターとして
全面的に俺達に協力すると言うなら、
定価の2割で調教してやってもいい。
……どうする?」
ジュン:
「乗った!って、ふふっ、返事がいいね。
じゃあ今後どうするか打ち合わせを……」
チハル:
「おい、先々話を進めんなよ。
今回、メインで動くのは俺とジュンだろ。
だったら俺からも条件がある」
カオル:
「じょーけん?」
チハル:
「ああ。
俺が出す、モニターとしての条件は3つ。
1つ。
俺らが言うことは絶対順守。
破ったら、即、破門だからな。
2つ。
親に許可をとって俺らと店舗上にある部屋で共同生活をすること。
これは管理をしやすくするためにとる処置だからな、変に勘違いすんなよ!
3つ。
俺らに恋をしないこと。
後々面倒くさくなるのはごめんだからな、
俺らはあくまでビジネスとしての関係だと言うことを忘れんな。
こっちの条件は以上だ」
ジュン:
「うーん。
まあ期間が3ヶ月しかないし、
ある意味住み込みが妥当だけど。
ご両親の許可とるの大変だろうね。
カオル、その辺手伝ってあげられる?」
カオル:
「はーい、任せてー!
マダムキラーカオルくんの
本領を発揮します!」
ジュン:
「ふふっ、頼もしいね。
君もそれでいいかな?
……そう。ならその方向で進めるね」
カオル:
「やったー、けってーい!
それにしても最後のさー、
『俺の惚れるな!』は
ちょーっと、
ちーくん浮かれすぎじゃなーい?」
チハル:
「な……ちょ、
言っとくけど俺も含めて惚れるなって
事だからな……!
ジュンとかお前とか、
やたらと女にモテるだろ?
それに何だかんだ、
……アサギも俺もマニア受けするし、その、
線引きだ、線引き!
こういうのは、最初が肝心なんだよ!」
カオル:
「はいはーい、そゆことにしとくね~。
そんでもって、君も
そんなに構えなくていーからね~?
ちーくんはあ~見えて一番、
情にもろいタイプだから。
4人の中で一番、安全パイ~」
チハル:
「カーオールー!」
SE : チハルが席を立つ音
カオル:
「はいはい。ちーくん照れない、照れない」
チハル:
「照れてねえ!」
SE : 店内でおいかけっこする二人の足音
ジュン:
「色々と騒がしくてごめんね?
これからよろしく、お嬢さん」
アサギ:
「はあ。
この調子だと先が思いやられるな……」
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