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Track 03:皆でわいわいお引っ越し
シーン3 /主人公の家の玄関・昼
SE : チャイムの音
SE : 主人公の足音
SE : ドアを開ける音
チハル:
「引っ越しの手伝いに来た。邪魔すんぞ」
SE : 四兄弟が家に入る足音
カオル:
「お邪魔しまーす」
SE : ドアがしまる音
ジュン:
「お家、随分静かだけど、
今日ご家族はご在宅かな?
いるなら先にご挨拶して
おきたいんだけど……。
……そう、お仕事か。大変だね。
夕方には帰ってくるんだったら、
その時にでも改めてご挨拶しとこうかな」
カオル:
「あ、俺も俺も! 千恵ママと話したい!」
チハル:
「千恵ママって、お前……。
フランクに呼びすぎじゃねぇ?
何回か行ってんのは知ってっけど、
そんなに仲良しか」
カオル:
「メル友です!」
アサギ:
「モニターといえど、相手は顧客の保護者。
あまりラフになりすぎるのはよくないぞ」
カオル:
「はーい。わかってまーす」
SE : 靴を脱いで家に上がる音
チハル:
「で、さっそくだけど、
お前の部屋、案内して」
SE : 主人公を先頭に廊下を歩く足音
シーン4 /主人公の部屋・昼
SE : ドアを開ける音
SE : 主人公らが部屋に入る足音
アサギ:
「なんだこの魔窟は……。
人間が住んでいたとは
思えない部屋だぞ……。
これは徹底的に除菌して回らないと
ダメだな……」
カオル:
「ごめんねー。
あっくん、ちょっと潔癖入っててー」
チハル:
「これくらいフツーだろ、大袈裟な」
ジュン:
「そうだね、
アサギの言ったことは気にしないで。
ところで今回は契約期間が3ヶ月だから、
必要最低限の物しか持っていかないけど、
荷造りはどんな感じ?
そう、まだか。
なら今から簡単に梱包していこうか」
アサギ:
「持ち物は全部除菌してから運ぶぞ。
安心しろ、準備は万全だ」
SE : アサギが背負っているリュックを
床に下ろす音
チハル:
「色々持ってきたな……。
これすべて除菌グッズか」
アサギ:
「全てじゃないが、大方はな。
まずは皆、着替えろ」
SE : アサギがリュックから三角巾と割烹着と
マスクと手袋を取りだし装備する音
カオル:
「頭には三角巾、顔にはマスク、
体には割烹着、手には手袋って、あっくん。
完全防備だね……!」
チハル:
「……完全に給食のおばちゃんだな」
ジュン:
「へえー、
日本ではこんな格好でランチを作るんだね。
面白いな」
アサギ:
「面白がるな。
着替えるのが嫌なら、
せめて手袋くらいつけろ」
ジュン:
「はぁい」
SE : それぞれが手袋を手につける音
チハル:
「じゃあ、段ボール組み立てて
要るもん詰めて運んでくか! 」
カオル:
「じゃー俺、段ボール作りまーす」
アサギ:
「じゃあ俺は持ってきたものを
除菌してから箱に詰める係をする」
チハル:
「除菌はゆずらねーんだな……」
アサギ:
「もちろん」
ジュン:
「持っていくものは、
学業に必要なものと、衣類、
あとは何か息抜きに趣味のものかな?
本棚にある書籍は持ってく?
……OK、わかった。
じゃあその辺は力仕事になるから、
チハルに任せるよ。
僕は衣類の梱包をするから……」
アサギ:
「布団とカーテン、
持っていかないとないぞ」
ジュン:
「じゃあそれはアサギとカオルでして」
カオル:
「はーい」
ジュン:
「それじゃあ、作業開始だね」
SE : 本棚から本をとるが、
カバーがずれて本を落とす音
チハル:
「うわっ、わりい!
本落とした……って、なんだこの本……?
ホモ漫画じゃねぇか!
お前、その歳でもうこんなん読むのか……」
SE : あーん♪(野太い男の声)
ジュン:
「BL本とはおませさんだね。
チハル、白目剥いてないで手を動かして。
除菌の鬼がピリピリしてるから」
SE : どこからともなくひゅおおと風が吹く音
アサギ:
「早く持ってこい……」
チハル:
「わかった……」
SE : ジュンがクローゼットを開ける音
ジュン:
「持っていく衣類はここに入ってるスーツケースの物だけ? 少なくない?
ああこれ、制服とか下着類なんだ。
じゃあこれとは別に、
クローゼットにある中から
いくつか使えそうなの選んで詰めていくね。
アサギ、パス」
SE : スーツケースを滑らせ、
それを受け止める音
アサギ:
「おい、スライム。
除菌の仕方を教えるから、こちらへこい。
交代だ。
代わりに俺はカーテンと布団を梱包する」
SE : 主人公がアサギのもとへ向かう足音
ジュン:
「さてと、じゃあ服……」
SE : 次々とハンガーを手に取り、
服を吟味する音
ジュン:
「うーん。
あんまりいいのがないなー。
特にこれ。
……この服はないね。捨てていい?」
SE : ごみ袋に服をいれる音
アサギ:
「それなら俺も。
このカーテンと寝具の色はないな。
これも一緒に捨てよう」
SE : 布団カバーをはぎ、ごみ袋にいれる音
SE : あわてて二人に駆け寄るカオルの足音
カオル:
「ちょっとちょっと!
二人ともボンボコ捨ててるけどさー。
思い入れのあるものかもしれないんだし、
ちゃんと本人の許可とってからにしてよー」
SE : カオルがごみ袋を奪う音
チハル:
「おい、どうした? なんかあったか」
SE : チハルが近づいてくる足音
カオル:
「二人がわんさか彼女の私物を
捨てようとしてて!
ちーくんからもなんか言ってよー!」
チハル:
「んなもん、
コイツがどうしたいかだろ。
こん中に必要なものがあんなら、
ちゃんといるって言わねーと
こいつら本当に捨てるぞ、言え。
……変わるためには致し方ない
って言ってっけど、なんか無理してねー?
言いなりになって物捨てんのと、
今までの自分を変えるのって
イコールじゃねぇだろ。
好きなもんは変わらず好きなんだから、
ださかろーが持ってていいと思うぞ、俺は」
カオル:
「俺もその意見にさんせー!
だからこのごみ袋の中身を君に託します!」
SE : ごみ袋を主人公へ渡す音
SE : 主人公がごみ袋を抱き締める音
SE : チハルが近くの段ボールを持ち上げる音
チハル:
「話は終わったな。
じゃ、俺この段ボール車につんでくわ。
梱包した段ボール、
そこに置いていってくれ。運んでくから」
SE : 主人公が頭を下げる音
チハル:
「……礼とか別にいい。
大したことなんもしてねーし。
なんつーか、
ジュンやアサギたちが悪かったな」
SE : チハルが主人公の頭を雑に撫でる音
SE : 遠ざかっていくチハルの足音
ジュン:
「さっきはごめんね、
ヒートアップしちゃって。
微妙な服は君に渡していくから、
捨てるか持っていくかは君が決めて」
アサギ:
「さっきはその、俺も反省している。
寝具やカーテンも持っていきたければ
持っていけばいい。
ダサいのは変わらないが、
たった3ヶ月の辛抱だしな……」
SE : 主人公がごみ袋を漁り、
寝具を取り出す音
SE : 持っていたごみ袋をカオルに渡す音
カオル:
「えっ、それ以外はいいの? 本当に?
……服に思い入れはないし、
変わりたいから捨てていい、かあ。
君がそう決めたなら、まあいいけど」
アサギ:
「おい、スライム。手に持ってるもの貸せ。
除菌してから梱包する」
SE : アサギに寝具を渡す音
ジュン:
「じゃあ作業再開だね」
カオル:
「よーし張り切って頑張ろー♪」
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