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Track 07：これで２回目
シーン7 /美容サロン店内・夜
SE : 店内に流れているBGMの音
SE : 固定電話の電話のコール音
チハル:
「アサギ、電話!
いま、手ぇ離せねぇから頼む」
アサギ:
「俺は電話じゃない。けど、わかった」
SE : アサギが固定電話の側まで
歩いていく足音
SE : 電話の受話器をとる音
アサギ:
「お待たせいたしました。
ビューティーサロン・エンジェル、
アサギが承ります」
SE : 受話器越しに
電車が通りすぎていく音が聞こえる
アサギ:
「……あんたか。こんな時間にどうした？」
SE : 胸ポケットからスマホを取りだし、
タップする音
アサギ:
「次の訪問はたしか、来週の水曜日の予定だったが……。変更か？」
SE : 受話器越しに鼻をすする音が聞こえる
アサギ:
「どうした、何かあったのか？
予定を前倒しに変更してほしい？
どうした、急に……。
浅キョン似の新人の歓迎会をすることになった？ あんたの家で？ なんでまた」
SE : アサギが子機をもって
人気のないところへ移動する足音
アサギ:
「たっつんの提案で歓迎会することになって、たっつんの家でするのを阻止するために自ら立候補したって、あんたなあ。
いや、まあもう決定事項なんだろうから文句を言うのはやめておくが、祝いたくない相手を部屋に呼んでパーティしても楽しくないだろう。もっと上手に立ち回らないと」
SE : 受話器越しに鼻をすする音が聞こえる
アサギ:
「泣くな、責めてる訳じゃない。
心配してるんだ、単純に。
こんな気持ちの時に優しくするなって言われても。傷口に塩をすりこんでほしいのか？
ははっ。だったら別に問題ないだろう？
で、日付はいつなんだ？」
SE : アサギがスマホをタップする音
アサギ:
「そうだな……。
その日程だと、
しあさっての夜ならなんとか出来そうだが……、
家具の配送が間に合うかどうかだな。
少し時間をくれるか？
担当者に掛け合ってみるから、
一旦電話を切るぞ」
SE : 受話器越しに鼻をすする音が聞こえる
アサギ:
「切らないでって、あんたなあ。
本当にらしくないぞ。どうした？
たっつんに言われた？ 何を？」
SE : 受話器越しに鼻をすする音が聞こえる
アサギ:
「そうか……。
次の歓迎会で浅キョンに告白する気なのか……、たっつんは。
だからあんたとは付き合えないと、
ハッキリ言われてしまったんだな。
意外とそこはキッチリしてるんだな、
たっつん。見直したぞ。
で、肝心の浅キョン似の新人とのようすは
どうなんだ？」
SE : アサギがスマホをタップして
メールを打ち、送る音
アサギ:
「恋愛は片方だけが好きでも成り立たないからな。浅キョン似の新人にその気がないなら、まだ望みはあるだろ」
SE : アサギのスマホが
メールの受信を知らせる
SE : アサギがスマホをタップしてメールを見る音
アサギ:
「浅キョン似の新人にたっつんのことを聞いてみたら、明るくて面白い人ですねって言ってた……って、微妙だな。
歓迎会、言い出しっぺはたっつんだろう？
その新人は喜んでいたのか？」
SE : アサギがスマホをタップして
メールを打つ音
アサギ:
「わー、すごくうれしーい！か。
よく考えたらそれ以外の返事を新人が言ったら角がたつしな、そこはそう答えるか……」
SE : アサギのスマホが
メールの受信を知らせる
SE : アサギがスマホをタップしてメールを見る音
アサギ:
「ん？ さっきからカチカチ音がしてる？
……ああ、誰かさんがわがままをいうから
業者宛に確認のメールをしてたんだ。
さっきOKをもらったから、
しあさっての夜に部屋のセッティングをするぞ。予定を開けといてくれ」
SE : 受話器越しに電車が通りすぎていく音が聞こえる
アサギ:
「別に、俺のことは気にしなくていい。
それより問題はあんただろう。
たっつんのこと、どうする気だ？
このまま、諦めるのか？」
SE : 受話器越しに鼻をすする音が聞こえる
アサギ:
「もう２回フラれてる、諦めなきゃいけない、か。
なら部屋の模様替えはどうする？
あれはたっつん用にカスタマイズしたデザインだからな。
キャンセルするなら今のうちだぞ」
SE : 受話器越しに鼻をすする音が聞こえる
アサギ:
「ふっ、なるほどな。
最後に思いっきり見栄を張りたい、か。
わかった。
なら最高にいい女に見えるように
部屋をセッティングしてやる。
その浅キョン似の新人が
気後れしてたっつんの告白を断るくらいにな」
SE : 受話器越しに電車が通りすぎていく音が聞こえる
アサギ:
「ところであんた、いまどこにいる？
さっきから電車の音が聞こえるんだが。
なるほど、バイト帰りだったか。
今、駅にいるんだな。なに駅だ。
ほう、意外と近いな。
なら、業者を呼ぶ前にもう一度
改めて打ち合わせをしたいから、
店に来てくれないか、今夜。
ブスな顔になってるから会いたくない？
ははっ。じゃあメイクを直してからこい。
……何時くらいになりそうだ？」
SE : 受話器越しに鼻をすする音が聞こえる
アサギ:
「わかった。
もうすぐ閉店だから、
店についたら電話してくれ。
店舗で待っているから。
泣きながら謝るな。
大丈夫だ。
じゃあ待ってるからな」
SE : アサギが電話の通話を切る音
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