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Track 08:月明かりの下で
シーン8 /美容サロン店前・夜
SE : スマホのコール音
アサギ(電話):
「はい。もう着いたのか、今開ける」
SE : 通話が切れる音
SE : アサギが扉に近づいてくる足音
SE : 店の入り口の鍵を開ける音
SE : 扉を開ける音
アサギ:
「よく来たな、いらっしゃい」
SE : 主人公がアサギに抱きつく音
アサギ:
「うおっ!?
……大丈夫か、あんた。
今のは少しビックリしたぞ」
SE : 主人公がアサギを抱き締める音
アサギ:
「ちょっ、どうした!
優しく抱き締めてくれって、あんたなあ。
こういうときにそういうことするのは、
あんたに対して不誠実だろ?」
SE : 主人公がさらにアサギを抱き締める音
アサギ:
「OK、わかった。
気が動転してるな?
わかったから少し落ち着け」
SE : アサギが主人公の背中を
優しくとんとんする音
アサギ:
「……まあ、そういうときもあるよなあ。
生きてるんだし」
SE : アサギが主人公の背中を
優しくとんとんする音
アサギ:
「大丈夫、大丈夫。大丈夫だよ」
SE : 主人公がアサギの肩に顔を埋めて泣く音
SE : アサギが主人公の背中を
優しくとんとんする音
アサギ:
「俺はあんたの話を聞くことしかできないけど、それでもいいなら、
今日はとことん付き合ってやる。
あんたが今夜、ちゃんと眠れるように」
SE : 主人公がアサギからゆっくり離れる音
アサギ:
「……少し落ち着いたみたいだな。
とりあえず話を聞くから、中に入れ」
SE : アサギと主人公が店の中に入る足音
SE : 店の扉が閉まる音
シーン9 /美容サロン店内・夜
アサギ:
「紅茶だ。熱いから気を付けて飲めよ」
SE : アサギが紅茶のカップを机に置く音
SE : 主人公が紅茶を飲む音
SE : アサギが椅子を引いて座る音
SE : 主人公が紅茶を机に置く音
アサギ:
「少し気持ちは落ち着いたか?
顔、ひどいぞ。
ディッシュ使うか?」
SE : アサギが主人公の目の前に
ティッシュを置く音
アサギ:
「ごめんなさい、ね。
安心しろ、気にしてない。
電話でも少し変だったしな。
心配した」
SE : 主人公がティッシュを引き出し、
目元をぬぐう音
アサギ:
「そんなにぺこぺこしなくても大丈夫だ。
家具の発送、前倒しにできるよう頼んだし、
精一杯強がってやればいい。
逃した魚がでかかったって、
たっつんに後悔させてやれ」
SE : 主人公がアサギの肩をバンバン叩く音
アサギ:
「いてっ。どうした。
相変わらず超ポジティブシンキングって、
当然だろ?
家の事もあって、
普段から色々、鍛えられてるからな。
ウケるって、それは誉めてるのか?
そう、ならいい。
けなしてたら
デコピンの刑に処すところだった。
……ふっ。やっと笑ったな」
SE : 主人公がそわそわしだす音
(衣擦れの音など)
アサギ:
「どうした? そわそわして。
なんか優しすぎて調子が狂う?
ははっ。面白いこというな、あんた」
SE : 主人公がアサギの肩をバシッと叩く音
アサギ:
「いてっ!
笑い事じゃない?
なんか変に意識しちゃう?
はははははっ。
ほんとあんたは飽きないな。
傷心の心にムチ打ってほしいのか?
……違うだろ?」
SE : 主人公がモジモジする音
アサギ:
「あんまり優しくされると
勘違いしちゃうからやめてほしい、ねえ。
変に同情して優しくされるより、
いつも通りの方がいい、か。なるほどな」
SE : 主人公がアサギの肩をバシッと叩く音
アサギ:
「いてっ! わかった、悪かったよ。
少し面白がってた。
俺はいつも、
あんたにペースを乱されまくっているから、
いい気味だと思ってな」
SE : 主人公が前のめりになって、
アサギの肩をつかむ音
アサギ:
「それってどういうことって、
そういうとこだよ、そういうとこ!
少し落ち着け!」
SE : 主人公がアサギから手を離して
椅子に座り直す音
アサギ:
「ごめんなさい、か。
天然でしているのが、
あんたの恐ろしいところだな……」
SE : アサギが眼鏡の位置を直す音
アサギ:
「それってどういう意味……って、
どういう意味か知りたいか?」
SE : アサギが主人公に顔を寄せる音
SE : アサギが主人公の頬に触れる音
アサギ:
「そうだな。
それはーーまだ内緒」
SE : アサギが主人公の頬をつまむ音
SE : アサギが頬から手を離す音
アサギ:
「……気になる?
ははっ。じゃあ
あんたがほんとに笑えるようになったら
教えてもいいよ。
それまではもう少し、このままで」
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