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Track 01:出会い
シーン1 / 駅前の広場・夕方
SE : 周囲の人々のざわめき音
SE : 主人公がスマホをタップする音
SE : 電話の呼び出し音
SE : 自動音声に切り替わる音
アナウンス:
「おかけになった電話番号への通話は、
お客さまのご希望によりお繋ぎできません」
SE : 電話が切れる音
SE : 雨が降り始める音
通りすがりの人A:
「あれ、雨?」
通りすがりの人B:
「うそー、傘持ってきてないのにー」
SE : 本格的に雨が降る音
(しばらく鳴り続ける)
SE : 雨の中を走る人々の足音
SE : 雨が降る音
SE : 傘が雨を弾く音(ジュンが傘を差し出す)
ジュン:
「こんにちは」
SE : 主人公が一歩後ずさる音
ジュン:
「あっ、急にごめんね?
恐がらせるつもりはなくて……。
さっきからずっと、
ここで誰かを待ってたでしょう?
このままだと風邪ひいてしまいそうだなって思って、声かけたんだ。
良かったらこの傘、使って」
SE : 主人公がジュンの方へと一歩踏み出す音
SE : 主人公が傘を押し返す音
(傘が雨を弾く音から雨が降る音へ)
ジュン:
「えっ、いりませんって、どうして?
僕が濡れちゃうから……って、
君、優しいんだね。
僕がそうしたいだけなんだから、
気にしなくていいのに。
……そんなわけにはいかない?
風邪を引いたら大変だし……って、
ふふ、それさっき僕が言った言葉だよ。
それにね、
僕の家すぐそこだから。
多少、雨に濡れても平気。
だからこの傘は、遠慮なく君が使って?」
SE : ジュンが傘を差し出す音
(雨が降る音から傘が雨を弾く音へ)
ジュン:
「ん? どうかした?
不思議そうな顔して。
なんでこんなに親切にしてくれるの……
って。
……気になる?」
SE : ジュンが主人公に一歩近づく音
ジュン:
「それはね、
……君が泣きそうな顔してたから。
なんだかほっとけなくて、
自分から声かけちゃった」
SE : 雨が激しく降る音
ジュン:
「(主人公の耳元で)言っておくけど、
普段はこんなこと、しないからね。
今日が特別。」
SE : 主人公が後ろへ下がる音
SE : 雨が激しく降る音
ジュン:
「あ、ほら。
そんな所に居たら濡れちゃうから、ね?
可愛いトマトさん」
SE : ジュンが主人公に一歩近づく音
SE : ジュンが傘を差し出す音
(雨が降る音から傘が雨を弾く音へ)
ジュン:
「ほら、柄をしっかり握って。
落とさないようにね……って、
どうしたの? 涙が……」
SE : 主人公が涙をぬぐう音(衣擦れの音など)
ジュン:
「なるほどね、彼氏にふられちゃったのか。
勿体ないことするね、その人。
僕だったら君みたいな一途な子、
絶対に手放したりしないけど……。
……そうだ。
君、今から時間ある?
新しい恋ができるように、
僕が魔法をかけてあげる」
SE : 雨が激しく降る音
「……ふふっ、それは内緒。
僕についてきたらわかるよ。
で、どうする?
来そうにもない人を、
この大雨の中、君は待つの?
それとも、
僕を信じて魔法にかけられてみる?」
SE : ジュンが身を屈め、
主人公と目線を合わせる音
(衣擦れの音など)
ジュン:
「選ぶのは君だよ」
SE : 雨が激しく降る音
SE : ジュンから一歩遠退こうとするが、
思い直して一歩近づく主人公の足音
ジュン:
「決まりだね。
絶対に後悔させないから、楽しみにしてて。
じゃあ、行こうか。お姫さま」
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