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カナちゃんはとびっきりの笑顔で返す。
うっ、それが逆に怖い。
「ところで君たち。私に何か用があるのかね?」
用がないなら呪う――プレートに書いてあった文章を思い出しゾッとする。
そうだ、用件! 用件を言わなきゃ!
「はっ、はい! 実は……」
私はカナちゃんの方をチラッと見る。
どうしよう。ここから先はウラ世界のことを話さなきゃいけないんだ。
変人の佐伯さんはともかく、カナちゃんに変な目で見られたら?
そう思うとちょっと怖いな……。
「恵美ちゃん、どうしたの? もしかして私がいたら話しにくいとか?」
「えっと……うーん。なんて説明したらいいんだろ……」
「いいよ、じゃあ先に帰ってるねぇ。家に幽霊が出るんだっけ? そういうのあまり人に話したくない気持ちも分かるし」
いつの間にかカナちゃんの中で私の家に幽霊が出ることになっているみたい。
でも上手く説明できないしそういうことでいいや。
「ごめんね、カナちゃん」
「いいよぉ、私も今日見たいテレビがあったし。じゃあまた明日ねぇ」
「うん、バイバイ」
「でもこの人、マジで怪しいから怖くなったら恵美ちゃんも大声だすか、すぐ帰るんだよ」
カナちゃんはこっそりと私に耳打ちをしたあと、帰っていった。
そうだよね、ここからは変人の佐伯さんと二人きり。いろいろと気が重いけど、それでも話を進めなきゃ!
「えっと、佐伯さん、本題の用件なんですが……」
「ふふっ、ふふふふっ……ふふふっ!」
ええーーー!?わっ、笑ってる!? もう怪しさマックス!
「どっ、どうしたんですか!?」
「君、さきほど幽霊と言ったね?」
「はっ、はい」
「クックックッ……なるほどな、そう言うわけか」
クックックッてなんちゅー笑い方なの。まるで悪役だって。
佐伯さんの強烈すぎる個性にぶち当たりポカンとする私。
「つまりなんだ。君は私に除霊を頼みたいんだろう?」
「!!」
私は思わずコクコクと何度もうなずく。
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