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【1】不運続きのわけ
「きゃあああっ!?」
ズッテーン!
何もない場所ですべり、二階から勢いよく階段を転がり落ちる。
イタタタタ……。頭をぶつけたのか、ちょっとクラクラする。
はああ~、このドジっぷりが今や私の日常。
ええと、ええと……。私は誰?
名前は村井恵美奈、高校一年生の女の子。血液型はO型。
そして今日は金曜日。今は朝八時でこれから登校する。
ホッ! 大丈夫、覚えてる!
「あらら、恵美奈。まーた階段から落ちたの? 大丈夫?」
心配そうにママが台所から顔を出す。
「う、うん。どこもケガはしてないみたい。ホントにこの頃ツイてないんだよね~」
思わず苦笑い。
「まったく気をつけなさいよ。派手な音だったから心配しちゃった」
「えへへ……」
なんだか、最近、とつぜん不運が続いている気がするの。
前はこんなに運が悪いなんてことなかったんだよね。
ご飯を食べていたらお箸が折れる。散歩していたら空からドングリが大量に落ちてくる。どこからともなくボールが飛んできて顔面直撃。
――こんな感じであり得ないツイてなさの毎日。もう本当にうんざりしちゃうよ。
いけない! もうこんな時間だ。とりあえず学校に行かなきゃ。
ママに「行ってきます」と言って、急いで玄関を飛び出る。
えっと、今日は空から何も振ってこないよね?
注意深く、空を見上げると鳥が気持ちよさそうに飛んでいるのが見えた。
あーあ、鳥みたいに飛べたら転ばなくて済むのになあ。
そんなことを考えていたとき――
プ―――ッッッ!!
いきなり車のクラクションが耳に入ってきた。
――しまった!
急に曲がり角から現れた車。よそ見をしていた私は当然避けることができない。
ぶつかる!!
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