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「君のような礼儀がしっかりしている女性は結婚しても私を粗末に扱わんだろうからな。私は結婚に憧れている! だが、時が経つつともに旦那は邪魔だゴミだと言うような女性は避けなければいけない。よし、君なら合格だ。というわけで将来私の嫁になるのはどうかね?」
「いや、ちょっとそれは……無理ですね」
苦笑い。まあ普通に考えて、これはジョークってやつだよね?
しかしまあ……。佐伯さん、想像以上に変人だ。
こんなんで無事に協力してもらえるんだろうか?すっごい不安。
あっ、隣でカナちゃんがクスクス笑ってるし!他人事だと思って~!
「くっ、やはりいきなりは無理か。……まあいい。君もそのうち私の魅力に気付くだろうからね。ふふふっ、ふふ……」
えっ、まさか今の本気だったの!?うそでしょーっ!
「いや~……それはなんというか……」
「むっ、ところで隣の子は君の友達かね?」
「あっ、はい」
「牧原カナです」
不愛想にカナちゃんが挨拶したのを見た佐伯さんは顔をしかめる。
「……。大和撫子の君がパン耳なら、カナさんの方は食パンからパン耳を取った残りの白いフワフワした部分だな」
「……?」
パン耳? 食パン? パン耳を取った残りの白い部分?意味不明の連続だ。
「パン耳は私の大好物なんだ。あれほど美味な食い物はこの世に存在せんからな」
佐伯さんはうっとりとしている。
ええーっ!? パン耳より美味しいものがこの世にはもうないって!?
パン耳ってパン屋さんで無料もしくは安価で売ってもらえるやつのことでしょ?
「佐伯さんってかなり変わってますね……」
カナちゃんは、こわいもの知らずにも(?)本人を目の前にしていきなり変人扱い。
「ふふっ、ふふふ……」
――ニヤリ。またまた不気味に笑う佐伯さん。
「私は白いフワフワした部分は興味がないんでね。カナさんよ、君はあつかましいおばさん化する素質がありそうだからな。要注意人物と判断したぞ」
「はーい。こちらも佐伯さんには興味なしですぅ!」
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