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「ふふふ……。まあここではなんだ。中で話そうか」
「はい、お願いします」
ホッ。よかったあ。話は聞いてくれそう。
「ではその椅子に座りたまえ」
言われるがままに椅子に座った。
佐伯さんの目の前にはパン耳が大量に積まれたお皿が置いてある。
佐伯さんはそこからパン耳を一つつまみあげ、もそもそと食べだした。
おぉ、すごく美味しそうに食べるなあ。
「――で、どんな幽霊なんだ?」
「楽しそうですね。幽霊が好きなんですか?」
佐伯さんのあからさまにワクワクした表情を前につい聞かずにはいられなかった。
「いいや、そうでもないぞ。私は幽霊でも悪霊と言われる部類の奴らは大嫌いだ」
「えっ!?」
「悪霊は腐ったパン耳だからな。霊になってもなお、生ある者に介入し、一方的に攻撃しようとするけしからんやつらは許さん。そう言った愚か者どもを徹底的に懲らしめてやるのが私の趣味なんだ」
ニヤリと佐伯さんは不気味に笑う。
腐ったパン耳って言うたとえは初めて聞いたけど、多分嫌いとかのマイナス的な意味だよね。しかし幽霊を懲らしめてやるのが趣味とは、ますますすごい……。
私なら幽霊なんて怖いし姿も見たくないもん。
「えっと。じゃあ除霊ができるっていう噂は本当なんですね?」
「ああ、もちろんだ」
自信たっぷりに佐伯さんは頷く。
佐伯さんは噂通りの変人だったけど、これは期待できそう。
……よし!勇気を出して今日の出来事を話してみよう。
「佐伯さん、信じられないかもしれないですけど聞いてくれますか?」
「いいぞ。聞こうではないか」
私はパフィとルーグのこと、そしてウラ世界の説明。
そして最後にパフィから手渡された国王の手紙を佐伯さんに見せた。
「ふふっ……。この話が本当なら楽しくなりそうだな」
えええっ!? どっ、どこが??
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