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恐怖のあまり声も上げることができず私は両手で自分の顔をおおった。
……。
…………。
あっ、あれ?衝撃が来ない?
恐る恐る目を開けてみると、私の目の前に迫っていたはずの車が消えていた。
そのとき、ブロロロッというエンジン音が私の後ろで響く。
え!?
驚いて振り返ると、私と正面衝突しそうになっていたはずの車が何事もなかったように走り去っていくのが確認できた。
「えっ……? えええっ!? どういうこと?」
あまりの出来事にキョトンとする私。
絶対ぶつかると思っていたのに……。
――って、そうだ! それはともかく今は学校! 早くしないと遅刻しちゃう!
気持ちを切り替えて、駆け出そうとしたとき――
「あっ! えええっ!?」
いつの間にか目の前に見知らぬ女の子と男の子が立っていた。
あぶない!慌てて駆け出そうとした体をストップ!
ギリギリでなんとか激突せずに止まることに成功。
うう、なんなんだ、今日は。やたらと衝突しそうになる。
「ねえねえ、そこのあなた!」
女の子の方が突然、私の顔にぐいっと近づいて話しかけてきた。
「えっ? なっ、なに?」
ん? この二人、とっても変わった格好をしているなぁ。
女の子の方は鎧を身に着けロングヘア―をポニーテールにしている。強気な瞳が印象的だ。
男の子の方は高級そうなローブを着ている。ちょっとブスッとしてるのは気のせい?
二人ともなんだか私がよくやるファンタジーゲームに出てきそうな出で立ちだ。
ゲームでいうなら戦士と僧侶! そんな感じの服装。
この辺でコスプレパーティでもやるのかなあ?
「ちょっと聞いてますの?!」
「あぁ!ごめんね!ぼうっとしてて。なにかな?」
「単刀直入に言いますわ。さきほど、あなたを助けて差し上げたのは私たちでしてよ」
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