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【4】ルーグの秘密?
佐伯さんと私の家に向かって歩いていく。
パン耳の話っていうのはどこのパン屋のパン耳がオススメかっていう話だった。
「……佐伯さんってもの好きですよね」
パン耳の話にちょっと飽きて、除霊の話をフトしてみた。
「言っただろう? 悪霊どもを懲らしめるのが私の趣味だとな」
佐伯さんはニヤッと怪しげな笑みを浮かべる。
「でも悪霊なんて危険な存在ですよね。命がとられる恐れだってあるのに……」
「……私の家系は代々霊と対峙する力を持っている。このことがどういうことか分かるかね?」
「すみません、分からないです」
「幽霊と戦える人間はほぼいない。ならそれができる人間がやらなければ誰がやる?」
「確かにそうですけど……」
「それにもう一つの理由はパン屋だ」
「え?」
「幽霊にパン職人やパン職人を志す原石を殺されてはたまらんからな。私のパン耳は誰にも奪わせんぞ!」
「な、なるほど。結局はそこに行きつくんですね」
なんかこの人のぶっとんだ思考が逆に今はありがたいというか。
自分が陥っている絶望的状況を忘れられる気がする。
「……ありがとうございます、佐伯さんを頼って良かったです」
これは本音。
「ふふふっ、まあ私に任せておけ」
佐伯さんと会話をしているとあっという間に家の前についた。だけど、パフィとルーグの姿が見当たらない。
「あっ、あれ? おかしいな」
なんとなく、家に着きさえすれば二人がすぐに現れると思い込んでたんだけど。
「……向こうだ」
「えっ?」
佐伯さんは突然走り出したかと思うと、最初の角を曲がっていった。私も急いで追いかけると――あっ!パフィとルーグ発見!
二人は空き地にシートを広げて休んでいた。
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