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アリよりもノミよりもダニよりももっともっと小さいロボットだ。
リンゴをかじっていたアインシュタインはドクター赤米で、あのながい雨の夢に出てきたレモンは奈津子と言った。
あれ?
苗字は?
そして今は2126年だ。
サグラダファミリアが完成してから100年たった。
らしい。
そして・・・・。
「いいかい? よく聞くんだ。僕ちゃん。まずはお前さんの頭に突き刺さって貫通している傘を抜く、そして穴の開いた部分の細胞をナノロボットで素早く再構成させていく。見た目も機能も元通りだが、全てはナノロボットで作られる。タイミングを見失うと一巻の終わりじゃ。だが、この手術の成功例はたくさんある。じゃがしかし、お前さんに今生きていくつもりがなければこの手術はやめて、とっとと冷凍睡眠に戻って、また100年ほど待つがいいと思われる。どうかね?」
「どうかね? って。もう起きているのだし。やっちゃってもらっていいですか? 生き死になんてあとで考えますよ。傘は誰が抜くのですか?」
「ナノロボットじゃ」
「ナノロボット? めちゃくちゃ小さいロボットなんですよね? きっと。じゃあすごく時間がかかるって事ですか?」
「それが、そうでもない。半日から1日じゃ」
「じゃあ、とっととやってもらっていいですか?」
「お前がそこまで言うのなら致し方がない」
「そこまでも何も、選択肢ないじゃないですか、ただの誘導尋問ですよそれ」
「ま、そうとも言うかもしれん。だが、少し心配しとるんよ」
「何をですか?」
「ま、そのー、こう言う話は姪っ子がするでよ、適当に聞いといてちょーす」
「ちょーすって、奈津子さんと話をすればいいんですね。わかりました」僕ちゃんはまんまと納得させられ、ねじ伏せらされた。と言うかこの人と話をするのは少しめんどくさい。
そんな思いが通じたのか、ドクター赤米はその場を去った。
僕ちゃんはまた赤い天井を見つめた。
改めて意識をするとどんどん気分が滅入ってきた。
話をまとめると僕ちゃんは100年ほど冷凍睡眠をしていて、記憶にはまったくないが頭にビニール傘が刺さっている。
らしい。
それもレモンがプリントされているやつだ。
そしてモヤモヤ病を患っているが、現代では割と簡単に治るらしい。ナノロボットで。
問題は頭に刺さっている傘で、こいつをナノロボットが抜いてくれると言う事だ。
時代は変わってロボットもナノ単位まで小さくなって、そいつらが人体の細胞の代わりになるそうだ。アリよりもノミよりもダニよりももっともっと小さいロボットだ。
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