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事件です!
次の日の朝、寝不足のままリビングに行くと、キッチンに素数が居る。
「お、起きてきた。コーヒー淹れるけど、自分も飲む?」
何、この普通っぷり。
昨日の『可愛い』は空耳だったのだろうか?
「あ、はい。ありがとうございます」
そう答えると、素数はキッチンに作り付けになっている棚からマグカップを2つ取り出し、インスタントコーヒーの粉を瓶から直接ザザッと放り込んだ。
目を見張る私を他所に、そこにそのまま、お湯と牛乳をガバガバ注ぐ。
更にカレー用のスプーン山盛りの砂糖をドサっと入れて、ひたすらぐるぐる混ぜた後、「はい」と片方のマグカップをカウンターに置いた。
そして、もう片方に口を付け、
「やっぱ、砂糖と牛乳はこの位入れんとな」
と呟いている。
立ったまま1口飲んだら、予想に違わず悶絶しそうな程に甘かった。
……挽きたて豆どころか、コーヒーじゃないよ、コレ。
どうやら中田さんに謀られたようだ。
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