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『本』が擬態した―ーという表現が正しいのかは解らないが―ー“獣”は流石に狩りの最中に一冊一冊タイトルを記す事は不可能である。
故に、狙うのは心臓か脳みそ、あるいは関節・・・の役割を担う『本』である。
昨日の“獣”は脳狙いで行った。そも、蛇の心臓など正しく狙える自信も無い。
ただでさえ、あの馬鹿でかさだ。
当然構成していた『本』の冊数も推して知るべし。『本』は結構重たい。一度の下山では運びきれず結果山を二往復する羽目になった。それでも、下山した時にニコニコと迎えてくれた青年―――“クラウン”が己の護衛を幾人かジンの手伝いにあてがってくれたからこそ、二往復で済んだのだけれども。
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