『本』の狩人(序)

3/5
前へ
/37ページ
次へ
 『本』とは知識である。  知識とは神の御業である。  人は神の御業に畏怖すると同時に憧れ・・・そうして知識を求めた。  知識が書き記された、『本』を望んだ。  歴史、医学、商業、技術、論理、未だ見ぬ娯楽の類まで。  人が、人の世を得てより、知識はその繁栄を支え導いた。  『本』を手に入れた者が、神の御業に触れ、知識の泉に浸る権限を得た。  繁栄を導く権力者。富に溢れた成功者。歴史に名を残す誰も彼もが、『本』を所蔵していた。  だから人は今も尚、『本』を望む。  ―――そして、『本』に挑む者達が、世界には居た。  『本』を狩る者達。『本』の狩人。  彼等は、神の試練に挑む者達である。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加