壊れかけた心

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朝のホームルームが終わり、一時間目の授業の準備をしていた。一時間目は理科。私は、茉莉亜と理科室へ向かっていた。そこへ、瀬戸島くんがやってきた。 「茉莉亜、こないだ貸してたペン返せよ。あ、佐藤さんおはよう。」 「おはよう...」 「あ、忘れてた!ごめんごめん。」 茉莉亜がペンケースからペンを出し、瀬戸島くんに返した。 瀬戸島くんはバスケ部で、顔もかっこいいから、女子から人気がある。おまけに、あんまり喋らない女子とかにも優しいから、性格もいいって噂されてる。 瀬戸島くんは茉莉亜からペンを受け取ると、友達のところへ行った。 「茉莉亜、瀬戸島くんと仲良いんだね」 「そーかな?たまに喋るだけだよ」 でも、茉莉亜の顔は嬉しそう。 たぶん、茉莉亜は瀬戸島くんのこと好きなんじゃないかな。私の予想だけど。 理科は班に別れて活動する。教室とはまた別の席で、毎回くじ引きで決められている。 今回の席、私は茉莉亜と離れてしまった。そして、瀬戸島くんと同じ班だった。 「お、佐藤さんだ。よろしくね」 「う、うん...。よろしく...」 私は人と喋るのが苦手だ。親は家にいないため、小さい頃から一人で過ごしてきた。だからなのか、人とのコミュニケーションの取り方があまり分からない。話すのが嫌いなわけではないんだけど。 「とわ〜、班別々になっちゃったね。」 茉莉亜が私の席に来た。 理科の時間は瀬戸島くんにたくさんお世話になってしまった。分からない問題とかいっぱい聞いちゃったし。よく分からない罪悪感で反応できずにいると、茉莉亜が顔を覗き込んできた。 「とわ?どうかした?」 「え、あ、ううん。なんでもない」 席をたち、茉莉亜と一緒に歩き始めた。 何も意識しなくていいんだ。私はいつも通り、大人しく座っていればいい。 茉莉亜の話に時折相槌を打ちながら、そんなことを考えていた。
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