15年後

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「あいつは今日も研究室に篭ってるのか?」 「うん、忙しいみたい」 陽多は去年結婚した。 相手は科学者で‥夢はタイムマシンを作ることらしい。 妻は呆れた顔をしていたが、彼なら作れると思えた。 なんとなく‥だが。 優しくて真面目で仕事熱心だから、陽多は惹かれたのだろう。 「お父さん、その傘まだ持ってたんだ」 「ああ」 青い折り畳みの傘。 あの日から、いつも持つようにしている。 「今日は雨降らないよ?  ‥だいぶぼろぼろになっちゃったね」 「いつ降るか分からないしな。  少しぼろくても、まだ使えるぞ」 これは、お守りだからな。 ぼろぼろでも‥これは捨てずに持っていたい。 持ち手のてるてる坊主は、今は二つに増えている。 偶然同じ人形が売られてるのを見かけて購入した。 一つより、二つのほうがいいと思ったから。 これで、寂しがらないだろう。 「お父さん、今日は色んなお店に行くから覚悟しといてね!」 「下着売り場だけは勘弁な」 「そんな所には行きません!」
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