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「あいつは今日も研究室に篭ってるのか?」
「うん、忙しいみたい」
陽多は去年結婚した。
相手は科学者で‥夢はタイムマシンを作ることらしい。
妻は呆れた顔をしていたが、彼なら作れると思えた。
なんとなく‥だが。
優しくて真面目で仕事熱心だから、陽多は惹かれたのだろう。
「お父さん、その傘まだ持ってたんだ」
「ああ」
青い折り畳みの傘。
あの日から、いつも持つようにしている。
「今日は雨降らないよ?
‥だいぶぼろぼろになっちゃったね」
「いつ降るか分からないしな。
少しぼろくても、まだ使えるぞ」
これは、お守りだからな。
ぼろぼろでも‥これは捨てずに持っていたい。
持ち手のてるてる坊主は、今は二つに増えている。
偶然同じ人形が売られてるのを見かけて購入した。
一つより、二つのほうがいいと思ったから。
これで、寂しがらないだろう。
「お父さん、今日は色んなお店に行くから覚悟しといてね!」
「下着売り場だけは勘弁な」
「そんな所には行きません!」
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