3人が本棚に入れています
本棚に追加
一人の乗客
足音が消えたと思えば、隣から優しい香りがする。
‥まさか。
チラっと横を見ると女性が座っている。
誰も乗ってないのに、なんで俺の隣に!?
白いワンピースに長い髪。
俺と同じくらいの年齢ぐらいだろうか。
いや、年齢を推測するのは失礼か。
「‥‥‥」
見入ってしまったのか。
いつの間にか女性と目が合っていた。
「‥はっ!」
慌てて外へ視線を変えた。
相変わらず雨が降りそうな曇り空。
女性に変な人と思われてないだろうか。
うぬぬぬ‥。
なんで隣に‥。
電車の扉が閉まる音。
車両がゆっくり揺れ、次の駅へ向かって動き出す。
隣の女性が気になってしまうから目を閉じておこう。
電車のガタンゴトン音と揺れが心地いい。
揺り篭のような‥。
このまま少し寝てしまおうか。
降りる駅まで、まだ数駅ある。
寝過ごさないように気をつけないとな。
最初のコメントを投稿しよう!