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「それでは続きをお聞きしてもよろしいでしょうか。」
黒服は口を開いたかと思えば、突如意味の分からない注文を真にオーダーする。
「はい?続きって、それで終わりですよ。その手紙は世間知らずの子供が書いた夢物語でおしまいです。」
「ですから、その物語の続編を、新宮様の人生の続きをお聞かせいただきたいのです。」
真は一瞬で怪訝な顔を浮かべて答える。
「嫌です。手紙を聞くことは了承しました。それ以上、語ることなんてありません。それともそれも遺品の整理とやらに必要だ、なんて言いますか?」
「はい、その通りです。この手紙はここで終わっていません。この先の新宮様の結論に至るまでが心残りとなると判断します。お聞かせいただけますか?」
黒服は眉一つ動かさずそんなとんでもを言う。真は対抗して文句を並べる。
「お断りします。そこまであなたに踏み入れられる筋合いはないでしょう。しかも私が嘘をついたらどうするんです?手紙とは違って私情は読むことが出来ません。嘘がつけてしまうのならこの話に意味はないでしょう?」
黒服はニッと笑って答える。
「嘘に関しましては問題ありません。私どもはこの仕事の性質上、嘘を敏感に感じ取ることが出来るよう訓練されております。また、「安楽死法」におきましては担当役人に特別な許可がおろされており対象者様の個人情報を共有することが認められております。もちろん、他言無用でございますからご安心ください。」
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