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黒服が笑う様子に異様さを感じた真はそれ以上、駄々をこねることは諦めた。一息ついて真は話す決心をつけた。手を止め、黒服の方に向かって座り直し、鋭い目をして口を開いた。
「その後は周りの子と一緒に高校に進学しました。仲のいい子と同じ高校を選んだりとあまり学力を考慮した高校選びはしませんでした。大した高校ではありませんでしたから特にこれといった活動はしませんでした。やったこといえば、先ほどの手紙でも出た誰かのために生きる方法探しといったところでしょうか。積極的に手助けをしたり、周りが敬遠するような仕事を請け負ったりととにかく様々なことを試しました。いろんな人に感謝されました。その時は自分が生きていると感じられて嬉しかったのを覚えてます。」
「それはそれは。答えが見つかったんですね。」
真は大きく首を振ってその答えは間違っていたといわんばかりに目を曇らして続けた。
「そんなものは答えでもなんでもなく、ただの自己満足、自己陶酔でした。そのことに気が付くのも時間の問題でした。私は高校一年生の冬、いじめにあいました。原因は川端幸子さんといういじめられていた子を助けたことでいじめの主犯格に目を付けられたことでした。」
真の目はさらに濁って暗雲がかかる。
「はじめのうちは物を隠されたり、無視をされる程度のことでしたが、私が抵抗しないことに苛立ちを感じたのかだんだんと深刻化してきて最後には暴力事件として警察の方にお世話になりました。それが高校二年生の春のことです。」
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