新宮真

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 10年後の私へ。元気でやってますか?私は元気です。突然ですが、私には夢があります。……  そこには夢や希望、未来の可能性に満ち溢れた文が綴られていた。黒服は一読すると、今度は声に出して読み上げ始めた。  「ちょっと、止めてくださいよ。私に聞かせないで下さい。」  真は持っていたノートを積まれた山の上に叩きつけた。  「どうしてです?こんなにも希望に満ち満ちていて、素敵な手紙だと私は思いますが。」  「完全に黒歴史なんです。嫌いなんですよ、その頃の私。現実を何にも知らない、何にも分かっちゃいない。読むのは勝手にしてくれていいですけど、読んだら捨てておいてください。私はそんなもの見たくも聞きたくもないんです。」  真はそう言いきると、また仕分けの作業に戻った。  「私には夢があります。」  黒服は構わず続きを読み始めた。  「だから、声に出すなって言ってるんです。あなた、政府の人でしょ。与えられた仕事だけやっとけばいいじゃないですか。あなたの仕事は私を殺すことでしょう!」  真は声を荒げて叫ぶ。
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