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「そうですね。私は新宮様からのご要望により安楽死をもたらすために派遣されました。しかし、私どもの業務にはもう一つ大事な仕事があるのです。」
黒服はたんたんと言葉を続ける。
「新宮様、あなたがこの世になんの心残りもなく安楽死をするためのいわば遺品の整理を行わなくてはならないのです。そのため、私は今一度この手紙を新宮様に一読していただく必要があると判断いたしました。ですが、新宮様は他の作業で手一杯。私どもにも決められた時間がございますから、手早く済ませるためにも私がこの手紙の内容を新宮様にお伝えさせていただくといった形をお許しいただきたい。」
ぐうの音もでなくなった真は
「勝手にしてください。」
と一言いって深いため息をついた。
「それでは続けさせていただきます。」
黒服はそんなことも意に介さず業務連絡のように一言加えて読み始めた。
「10年後の私へ。元気でやってますか?私は元気です。突然ですが、私には夢があります。」
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