新宮真

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 真は淡白に黒服の言うことを否定する。  「それは助け合いではないでしょう。支え合いでも、ましてや生かし合いでもない。ただお互いの立場から利用し利用される関係を持っているだけに過ぎない。しかも一時的な。明日には私は死んでいて、あなたはまた別の誰かの元に死をもたらしている。」  一瞬の間が空いて、静かになる。  「その通りですね。」  黒服は真の言うことを否定することもなく、やさしい声音で答える。  「私は新宮様と共に一生を遂げることは出来ません。明日も明後日も向かわなくてはならない場所がございます。ですが、一時的でも私は新宮様と関係を持ちました。それは新宮様の言う通り美しい関係ではないかもしれません。それでもその関係が美しい関係になっていくかもしれません。関わるのは一時的であっても、一度持った関係は一生です。関わらなくなっても関係は残ります。新宮様が安楽死を遂げれば、私は新宮様に死をもたらした者になりますし、新宮様は私に死をもたらされた方になります。」  「そんな関係が美しいものになると?ありえませんよ。それで私があなたに与えるのは罪悪感か徒労感か、もしかしたら快感かもしれませんね。」  フフッと真が笑う。それでも黒服は真の言葉にただ耳を傾けるだけ。そんな黒服を見ると真はすぐに口角を下ろして続けて言う。  「とにかく、それだけです。あなたと助け合うような関係にはなりません。」
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