第四章

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「………まぁ、仕方ないでしょう」  溜息交じりで首を振るが、エコーの顔は赤くなっていた。 「今日のお菓子はケーキの土台部分ですね」 「………それはただのスポンジと言わないか?」  砂糖と卵、小麦粉を使っているので、ここではかなりの高級品であることには違いない。だが、思っていた物と異なる報酬にタイサが困った顔で笑みを送る。 「贅沢言わないでください。クリームを作る暇がなかったので、この集落で取れたヤギのミルクをつけて食べてください」  エコーが小皿の上に乗った黄色くて軽い穴開きのお菓子と共に、やや深みのある小皿にミルクを波立たせながら運ばれる。 「まぁ、ないよりかは………うまいな、これ」  タイサの顔が変わった。ミルクの濃厚な甘みと、それを吸い込んだスポンジが口の中で染み出し、やがて溶けていく。 「ああ、さすがは俺の副長だ!」  タイサは次々とお菓子をミルクに付けては口の中に入れていく。 「はいはい。あまり多用したら減点ですから」  子どものようにお菓子を頬張るタイサを見ながら、エコーは満足そうに頷いた。  また忙しくなる。エコーは笑みの奥にこれから直面することに覚悟を決めつつあった。
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