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「終わったああああ!!」
大声で宣言し、柳澤圭一郎は左手から座卓の上にシャーペンを投げ捨てた。
正直、勉強は好きでない… いや、はっきり言って苦手分野だが、充分に聡くはあるので、それが必要なことも無益ではないことも分かってはいる。ので、渋々、本当にしぶしぶやっていた。
ああああああ、と圭一郎は更に大きく息を吐くと、ごろんと畳に仰向けになった。
寮の自習室はいくつかあるが、そのうちの畳の和室だ。八畳ほどの広さで、真ん中に大きな座卓がひとつ。普通に机と椅子の部屋もあるが、圭一郎はこの部屋がお気に入りだった。寝っ転がれるのがいい。
「おー、お疲れ。どれどれ…」
ずっと地図帳を熟読していた相棒が、放り出されたレポート用紙を覗き込む。そう、圭一郎からみると既に奇異の類だが、相棒は地図帳が好きなのだ。
転がったまま頭を動かしてみると、真剣な眼差しでふむふむとレポート用紙を捲る相棒の横顔は尖っている。
少し、マウンドに居るときの貌に近い。
圭一郎は、彼に聞こえないように小さく舌打ちした。
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