空界

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「だって、目、すごく似てるよ」 「嘘だぁ、あんな綺麗じゃないよ!」 「いや、本当だよ!」 「いやいや、あの美形だよ??似てるわけなくない?」 「さては華純、あんまり顔見てないでしょ?」 「顔...?」 「2人比べたらね、本当に目がそっくりなの、写真撮ろうか??」 「いや、大丈夫笑」 そう言われれば、隣だからか、全然顔は見てないかも...本当に似てるのかな? 今日は3時間授業と、すごく短い、3時間目はホームルームだけだ、帰りになったら、もう1度顔を見てみるとしますか! キーンコーンカーンコーン 「さようなら」 高校生にもなれば、最後の挨拶を毎日必ずしているのは、数人しかいない、何しろ、私も気分で言わない日がある。午前中で終わりの今日は、目が似ているとか言う女子達の話を間に受けて、遠くから少し見て帰ろうと、そそくさと教室を出ようと思った、しかしその瞬間、事件は起きた。 「あの華純さん、ちょっといいですか」 「えっ、あ、蓮君、何?」 「みんながいる所だと話せないので、屋上とかいいですか?」 「うん、まあいいけど」 屋上...?一体、どんな話だろうか 「えっと、話って?」 「いいか華純、俺は空の世界、空界(くうかい)から来た。理解できないかもしれないけど、俺はお前の双子の妹だ」 「...ん?」 「まあ、わからなくてもいいけど、とりあえず聞け。空界で生まれた双子は兄、姉が空界、弟妹が地界で暮らすという掟がある」 「地界...?」 「地球の事な」 一体何を言ってるのだろうか、双子?蓮君が?、ってか人柄変わりすぎじゃない? 「とりあえず夏休みになったら、一緒に空界に来てほしいんだ、今空界はファボ軍に乗っ取られそうなんだ。お前、さすがに記憶消えても戦う能力はあるよな?」 「は?戦う能力?」 「もしかして、全部忘れたのか?」 「忘れたのかって言われても、空界なんて知らないし、蓮君も知らなかったし、兄弟なんていないし」 「まじか」 待って待って、忘れたって何だ?蓮君全然違うキャラだし、空界ってなんだ?しかも戦う能力?何言ってるの? 「えっと、そうだ、首の傷」 「首の傷??」 「空界に生まれた人間には、うなじの少し下にダイヤ型の傷があるはずだ、ほら」 そう言うと、蓮君はその傷を見せてきた。 「え、何それ、空界ってほんとに言ってんの?」 「うん、君にもあるよ」 「見えないし」 「写メろうか?」 「ちょっと気になるから、お願い」 そう写メを撮ってもらうと、私の首にも同じ傷があった 「これ...」 「華純も俺と同じ空界人なんだよ」 「う"っ!」 「華純?!」 ふと脳裏を横ぎる、とある記憶。 生まれた時の記憶だろうか、でも、小さな私の周りには、私の知らない男女が立っていて、近くには私よりもほんの少し大きい男の子も寝ていた。記憶の中の女性は悲しそうにこういった 「双子だなんて...そんな...」 男性も続いてこういった 「仕方ないことだ、華純は地界に住ませるしか方法がないんだ」 「でも...」 「逆らったら2人とも死んでしまうんだ、我慢しよう」 「......」 そこで記憶は終わってしまった 「華純!おい!大丈夫か??」 「私...」 「焦ったー、急にふらっとして倒れ...え、涙」 「え...?」 気づくと私の目からは涙が零れていた 「ど、どうかしたのか??」 「生まれた時の記憶を見たの...あの人達は空界でのお父さんとお母さんだ」 「思い、出したのか?」 「うん、少しだけね」 「空界ってのは信じてくれた?」 「うん、信じる。」 「良かった、じゃあ、ファボ軍は?」 「ファボ軍は、まだ分からない」 「そうか、また何か思い出すかもしれないから、夏休み前の準備も手伝ってくれないか?」 「わ、分かった」 話を終えると彼はじゃあ、と一言発し、屋上を去っていった この短時間で、何が起こった...?
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