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人間が一生の間に打つ心拍数は、“23億回”だという。
颯真のせいで、私、きっと早死にするわ。だって、こんなにもドキドキさせられてるんやもん。
ふと、窓際に目をやれば、明かりのなかに人影が見える。颯真が部屋に戻ってきたらしい。
カーテンを開ければ、すぐ目の前に彼の部屋がある。だから、カーテンは基本的に閉めたまま。
彼と私の間には、越えてはいけない壁がある。それは、傘の中の6cmの距離のように、近いようで実はとても遠いものなのだ。
明日は晴れるといいな。
ゆらゆらと揺れる影を見つめて、一椛はため息混じりにつぶやいたのだった。
『彼と私の6cm』完
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