序章

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序章

 20××年、電力は、自然のものに切り替わってプルトニュウムのような原子力発電は世界からなくなりつつあった。 各国はわが国が最新の技術をと右手を高らかに世界に向け発信。 世界は安全であるかのようにほっと胸をなでおろす。 これは建前、人類は一度なれたものを使ってしまうと手放せないのが実情である。  G20などといくらわが国で開いたとしても、この小さな島国は大国の一番下っ端にしかないのだが、それをわかっているのだろうか? いまだに世界は、ボタン一つでこの星が無くなることをわかっちゃいない、それが自然災害に巻き込まれ誤作動することがあるという事、想定外という言葉は世界に通用しないということだ。  日本の電機のほとんどは火力発電だ、原子力はその数パーセントにしか満たない、ただ一度動かし始めればそれは爆発的な力を出す。だからこそ、それに依存し、裏で使い続けている。 それはこの国において一部の人間しか知らないこととなる。  赤いランプが点滅した。 「ダウン、ダウン、原子力、停止します!」 ウォーンと、電気出力の落ちる音がした。 また地震で、停電となった。 大きな電力施設はすぐに電力を封じると小さな電力施設にあっという間に集まった電気使用量は、パンク。 水力、火力もあおりを受け、ぽっぽっと明かりが消え始めたかと思ったら。 街は暗闇となった。  ジャー、ジャーと水の流れる音。 “いらっしゃいませ”と“ありがとうございました”の声が響く食堂の奥で男が洗い物をしている。 キュッ、キュッ蛇口を回す音が響く。 カチャカチャと洗ったものを片付け始めると店の方から声がする。 ごちそうさん。 扉が開く音。 時計に目が行った、客はもう来ない。 また水を出し始めた。 「今日はこれで終わり、あと頼むな」 「はい」 残り物持って帰っていいぞと言われ、あざーすと答えた。 使い古し色あせたゴム手袋は、ピンクから白を通り越して黄色くなっていた。洗い物が終わるとすべてのテーブルを拭き、床を磨いて、やっとゴム手袋から解放される。 手は、手袋のせいでいつも荒れている。 もらいもののハンドクリームを塗った。 しわしわの指・・・ 塗るたび、しわが消えていく・・・帰るか。 冷蔵庫の中に入っているタッパーをビニル袋に入れたものを手に厨房のカギをかけ家に帰る。  十一月十一日、誕生日、一並びによく笑われた。 祝ってくれる人はもう誰もいない。 二軒隣の今にも崩れそうな、錆びてがたつく穴の開いた階段を静かに上る。 くっと曲がるとき手すりから延びている棒をつかむとバチッと音がした。 やべ、光った。 すぐに手をパーカーのポケットに突っ込んだ。 二階の一番奥、階段から遠いからか、手前の二軒は空いたままだ。 玄関を開けなかに入ると、そこには、郵便物が落ちている、それを拾い集めた。 「またか」 誕生日になると必ず入っている袋、あて名は有名プロダクションだ。 たぶん、このトップにいる人は俺の父親だろうと思う、憶測でしかないが。 ごそっとそのまま封も開けずにゴミ箱へ・・・突っ込んだ。 日付はもう変わっていた。 「おめでとう、俺、あと一年、我慢しろ」 何が楽しいんだか、来年成人になるからといって何も変わらない。ただいろんなことがついて回るんだろうなと言う気はしている。 大事な物だけをもって、万年床の上に座って封を開けた。 「やった!まじー!よっしゃー!」 布団に大の字になった。 合格通知は、ドラマの小さなちょい役だった、それでも手に入れたことに喜んだ。 スマホがなった。 「地震速報かよ」 ぐらりと揺れたと思ったらすぐにものすごい音が襲ってきた。 「チッ!停電かよ」  大都市が暗闇に包まれるとパニックになる。 大きな町ほど、どうにもならないのは、知っているはずなのに、文句を言うのはなぜだろうか?  この小さな島国は、一度ならず二度過ちを犯した、だがその過ちは、またもや、いろんな画策により、いまだ政府は隠したまま、世界中の非難を受けているのに、平気で安全を歌い上げ、罪の上塗りをしている。 世界が今この国に何を期待しているか、何も期待なんかしちゃいない。 少子化の一途をたどり人類が居なくなることでこの国は、注目を浴びている。人がいなくなった時、この国には、大きな財宝が眠っていることを知る。それはこの国が黄金の国と言われた意味が分かるようになるであろう、だから、世界中がこの国をほしくてたまらないのだ。  バカな政治家たちは、それに気づく事すらもせず、今がよければそれでいいと車の上から、清き一票をよこせとばかりに意気込んでいる。それを横目で見るものですら、田舎は嫌いだと、先祖代々の田畑を継ぐのはしんどいということで売り、過疎化に歯止めが利かぬ田舎は、結局、金を作るため、箱モノと呼ばれる建物をつくる、その中で、人知れずつくられている物が、人類破壊の物だとも気付かずに・・・。 大地震で破壊されたもの、その怖さを知っているはずなのに安全だと言っている。だったらテメーらがここに住んでみろ。政治家は絶対そこに住むことはない、なぜなら、そこが安全ではないということをよく知っているからだ。 日本人は、自らの手で、国を滅ぼしているのに気がついていないのだ。 笑える、本当に今だけがいいのなら、未来なんて・・・
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