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「あのう。何か間違えていませんか。同期の中島健太郎君とは友達でもないし、僕自身、貯金もないし、実家も普通のサラリーマンで遺産もありません。親戚もごく普通ですよ。」
「そんなことは、関係ないわ。」
「百も承知よ。」
「私を馬鹿にしないで。」
三人が怒るんだけど、こんな経験は初めてだ。僕、クセになりそう。
「あのう、正直、信じられない気持ちで一杯です。みなさんのことは、あまりよく知りませんし、今すぐ返事なんかできません。そもそも、僕はそんなえらそうな立場の人間ではありません。」
僕は勇気をふりしぼって答える。
「可愛い。」
「正直ね。」
「萌える。」
三人にそんなこと言われたので、僕、よけい顔が赤くなる。耳が熱いよ。
「わかったわ。じゃあ、こうしましょう。私たちの用意したお弁当を食べて、誰と付き合うか決めて。順番は、ジャンケンで決めましょう。」
営業部の松岡真理の提案に他の二人も賛成する。僕の掃除はしているけど
ハムスター小屋みたいな小さな部屋で世にも珍しいジャンケン大会が今にも始まろうとしたところで、ノックの音がした。
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