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ドン ドン ドン
あちゃあ、近所から苦情か。恐る恐るドアを開けると、そこに立っていたのは、 同期の企画部の中条あやねだった。気のせいか、表情がキツイ。
「こんばんは。上がらせてもらうわよ。」
他の三人より付き合いが多いし、僕にはため口だ。
「先輩方、そのジャンケン。私も、混ぜてもらえませんか。」
帰国子女だけあって、たとえ先輩でも遠慮しない。
「ちょっと待って。正月とお盆とクリスマスにお誕生日まで、いっぺんに来た。」
僕はたまらず叫んでしまった。まさか、中条あやねまで。アンビリバボーだ。そんな僕を見つめる四人の視線がちょっと怖い。
きっと、お盆って誰のことよって怒っているんだろうな。しかたないだろう。僕は恋愛偏差値ゼロ。どんなことを言えば、女の子が喜ぶか、わかるはずがないもんね。
「いいわよ。四人でジャンケンしましょう。みんな、自信あるでしょう。」
「はい、喜んで。」
「もちろんよ。」
「さっさとやりましょう。」
こうして、世にも不思議なジャンケン大会が始まり、幕を閉じた。
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