会社ぐるみのお弁当賭博か

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会社ぐるみのお弁当賭博か

 その晩、僕は不覚にも四人が野球拳をして、次々と服を脱いでいるとってもスリリングな夢を見てしまった。名前だけでなく、顔もスタイルも性格も女優にそっくりな美女四人が・・・・。思い出すだけでも、幸せな気分になる。できれば、すっと見ていたいみたいな。    コホン、言い訳すると、それだけ、四人のジャンケンの気迫がハンパなかったからだ。鬼気迫るってあれのことを言うんだろう。  結局、明日の火曜日、一番手は人事部の本田つばめ。水曜日は、営業部の松岡真理(まり)。木曜日は、開発部の広瀬涼音。金曜日は、企画部の中条あやねに決まった。  面白いことに、その勝負は会社全体に知れ渡っていた。老若男女、興味津々だ。そして、四人以外の女子社員は、一切、僕から手を引いた。これって、会社ぐるみのお弁当賭博か。そんな馬鹿なことを考えてしまう僕であった。  昼休み、一緒に屋上でお弁当を食べようと、本田つばめが待ち構えていた。 「お弁当作ってきましたよ。」 「ありが十匹じゃなくて、ありがとう。」   テンパってる僕をスルーしてくれるところが優しいな。  お弁当は、可愛いにつきるオカズだった。黄色い卵焼きに、赤いタコさんウインナー、緑のブロッコリーに、から揚げだった。    正直、いつも食べているコンビニのバラエティ弁当の方が美味しいんだけど、幸福感はハンパない。僕のための世界でたった一つのお弁当、めっちゃ嬉しい。本田つばめが心から可愛い、食べてしまいたいと思ったよ。  
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