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不安を振り払うように私は昨日の言葉を思い出す。
「今のままここを続けるのか、旅立つのか」
答えることは終ぞ無かったが答えが決まっていた。決まっているはずだ。だがその問いかけは何故か私に焦燥感を募らせる。無意識に募る思いが私の心を苛む。浮かぶのは少女の言葉だ。
「多分、いつかきっと思い出せると思います」
思い出したら。思い出してしまったら私は――。私はどうするというのだろうか?その問いかけは既に此処にあるような気がした。
朝からタカナシ書店に来てみたが今日はタカナシさんは見当たらない。店番宜しく、スグ戻る。と書かれたメモがカウンターにぶら下がっている事から察するにあまり遠くに行ったという訳では無いとは思うが、少し寂しい。入院中では周りに様々な人が居すぎて煩わしいとさえ思っていた。そんな私だがやけに人間じみてきたのかも知れない。様々な人とのつながりの中で。例えばタカナシさんが。例えばあの女性が。例えばあの少女が。例えば――。例えば君ならどうするだろうか。
「え?」
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