75人が本棚に入れています
本棚に追加
プロローグ
ひとりで星空を見ている時に、急に切なさに打ちひしがれて、寂しくなって、泣きたくなることはないだろうか?
全てを忘れて、目の前に広がる黒い海原のどこかへ消えてしまいたい。
でも、無性に会いたくなる。
声が聞きたい人が夜空に浮かんで、行き場のない想いが溢れ出す。
きっと、星空症候群を発症する人は少なくないはずだ。
ーー僕も、そのひとりだから。
知らない影に振り向いては、あるはずのない君の気配を探して、鮮やかな都会の街に溺れていく。
白い吐息が、ひとりきりの空を枯らしても、ただひたすらに暗く、深く、僕らは歩き続けている。
最初のコメントを投稿しよう!