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キラキラした瞳で木下さんが見てくるもんだから、つい後ずさりしてしまう。眩しいのは嫌いだ。
同僚の期待を裏切るのは面目ないが、かぶりを振る。全ては水樹が悪い。
「あー、いやいや。誰に聞いたのかは知りませんけど、俺そんなことないですよ。期待してるとこ悪いんですけどね……。はは」
「え、でも花苗さんと付き合ってらっしゃいましたよね。『うちの彼氏元カノいっぱいいるんだよねー』って話してました」
それももう藍美なんだが。
こんなとこまで話ししてたのか、俺のこと。
ビールを一口で飲み干した後、多分俺は勢い余ったのか、珍しく酔っていたのかしていたのだろう。
普段はこんなこと、口を滑らしたりしないのだけれど。
「…いや、俺も、木村さんと同じで振られたんです」
「—————へ?」
絶対に、いつもの自分ならこんなこと、打ち明けたりしない。
ただ多分今日は、疲れたんだ。
「———愛せないんです、人を」
脳裏に映る藍美の姿は、泣いていた。
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