色傘

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色傘

梅雨が多い初夏の頃、僕は運命の悪戯にも出会った。 今思えば、神の悪戯とはこの事だろう。 僕は、社会に出て何の目的も無く、つまらない人生にうんざりしていた。 営業マンをしていた僕の成績は、よくなく会社でも足を引っ張り、同僚からも冷たい目で見られていた。 セールストークが悪いと言われたが、買う買わないは、お客の心1つ。 言い方を変えれば、どれだけ頑張っても無駄でもある。 そんな僕は、会社に今日の報告をしに、行くのが面倒で公園の椅子に腰をかけていた。 すると、次第に雨が降った。 僕は傘を忘れた。 そう言えば、天気予報で雨が降ると言っていた。 僕は会社の報告書を、濡らしたくなくて、公園の中に屋根付きのテーブルがありそこに急いで行った。 すると幸いにも透明な傘が目の前にあった。 僕は、置き去りにされた傘を手に取った。 置き忘れと思えない程綺麗な傘。 見た目は、安い100円の傘の様に見えるが何かオーラ的な物を感じた。 その傘を差して道を歩いた。 雨の日に傘を見つけて、少し気分が良い。 もう少し頑張ってみるか! すると、お客様の家に行きセールストークをした。 すると欲しいとの声が上がった。 その日傘を差してから、10件程回ったが、全部取れた。 僕は、雨が止んだのに気づき、傘を閉じようとした。 すると傘の色が黄色くなっていた。 しかも裏側に文字が書かれていた。 さっきまで、無かったのに。
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