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雨の日も悪くない
キーンコーンカーンコーン――…
静かな教室に大音量のチャイムが鳴り響く。
(これでもスピーカーは最小に設定してあるんだけどな……)
あかりは手を動かし続けながら思った。
周りでは何人かの生徒が静かに帰り支度を始めたらしい。
顔を上げなくても気配でわかる。
けれどあかりは手を休めなかった。
なんとなく、今やめてしまうとこの絵が何か別物になってしまうような気がするのだ。
(もう少し…もう少しだけ……!)
あかりは鉛筆を握る手に力をこめ、机のふちに立てかけたスケッチブックに向かい続けた。
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