雨の日も悪くない

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(……よし) 少し迷ったけれど,あかりはその子の方へと向かうことにした。 わざわざ遠くから来るような公園じゃないし,たぶん,近所の子だろう。 送るにしても,そう時間はかからないはずだ。 あかりはスカートを引きずらないよう注意しながら,男の子のそばにしゃがみこんだ。 「……どうしたの?傘,ないの?」 男の子はあかりの声にぱっと顔を上げたが,何も言わずにまたうつむいてしまった。 5,6歳だろうか。もしかしたら,小学校に入りたてくらいかもしれない。
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