第1章 業務命令 差額ベッドを埋めよ

1/7
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

第1章 業務命令 差額ベッドを埋めよ

田村佐和子は…その町でも1~2位を争うような… そこそこ大きな規模の個人病院に勤める看護部長だ…。 理事長 「田村君……病院にとって個室の差額ベッドを埋める事は経営上…大切な事だ。 看護部長である君の手腕の見せ所だよ。 宜しく頼む……。」 《最近…そういえば、個室の空きが目立ってたな☆》 佐和子も そう感じていた。 佐和子は大部屋に入院している患者さんに個室の使用を勧めるべく……一人ずつ話をしていった。 「丸亀さん…お加減いかがですか…? 何か困った事は無いですか…?」 丸亀 「ああ…有り難う、お陰さまで順調に回復しているようだよ。 ただ夜になると他の人のイビキに悩まされててね……。」 「そうですか…少し差額を負担していただければ個室に移る事も出来ますよ……。」 丸亀 「じゃあ…しばらく そちらでお世話になろうか。」 「分かりました。 気が付いた事があれば何でも 仰ってください。 出来る限り対応させていただきますから。」 「佐久田さん、こんにちは。 その後お加減いかがですか?」 佐久田 「ああ…看護師さんとか皆さん親切にしてくれるからね…。 ただ…夜中に目が覚めるほうでね……物音をさせると周りの患者さんに悪くてね。」 「そうですか…少し負担していただけたら…… 丁度、個室が空いていますよ。」 佐久田 「それは有難い…少し負担しても気兼ね無く過ごせるほうが有難いからね……。」 佐和子は入退院を管理する受付事務所にも声を掛けている。 「拓磨さん……入院受付の時にね、経済的に少し余裕の有りそうな患者さんには個室を勧めて欲しいの。 理事長から差額ベッドを埋めるように言われたのよ。」 拓磨 「看護部長さん…分かりました。 そのように入院の時に患者さんと ご家族に勧めてみます。」 こうした田村看護部長の働き掛けにより…… 個室は大体埋まるようになった…。 ベッドの差額が10000円の個室は50部屋有るのだが、30000円の個室が一部屋あり、そこは大会社の社長か社長夫人が 稀に入院する時に使用する位だ。 佐和子は、この一日30000円の個室を埋める事に固執した。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!