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「あ…っ」
「あ…っ」
初めて対話した日から数十週間後、バッタリと美玲と顔を合わせてしまったボクは、身を固くして立ち止まってしまう!
「………」
「………」
気まずい空気の中で、ボクが黙ったまま美玲を見つめ続けていると、彼女はノロノロとボクの方へ歩いてくる…
「………」
「あ、麻生君…、こ、高校生に…なったんだね…」
「はい…」
「そう…遅くなったけど、おめでとう…」
「あ、いえ、あ、ありがとうございます」
ぎこちない表情で対話する二人だったが、ボクは好きだった女から高校生になったことを祝ってくれて、思わず笑顔になってしまった…
「麻生君…あの時は、気が動転してしまって…ご、ごめんなさい…」
「とんでもないです!失礼なことを言ってしまったボクが悪いんです!」
「あたしね…去年の冬に愛する夫を失ってしまっての…
麻生君から“好きな男いますか?”と言われた瞬間、悲しさと寂しさが湧き出てしまって…」
「ご、ごめんなさい…」
ボクは美玲が旦那を失った悲しみを呼び起こしてしまったことを、激しく後悔して頭を深く下げて詫びた。
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