嘘の始まり

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ビルを出るとまだ空は明るくて、今から夕食という感じがしない。 それでも晴香は明日の朝の化粧のノリがいいだろうと、今から上機嫌で先を急ぐ。 食事をしながらどれだけ飲んだのだろう。 晴香はいつも以上に上機嫌のまま店を出てすぐにタクシーを見つけると、ひとりで乗り込んで帰ってしまった。 「ちゃんと唯花ちゃんを送っていくのよ」 そんな捨て台詞を残して。 「えっと、私電車でちゃんと帰れますから」 課長に送ってもらうなんて気が引ける。 それにふたりだけで道中どんな話をすればいいのか、考えただけでも酔いが覚めてしまいそうだ。 .
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