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弱みとかじゃないんですけど。
実は貴稔は近くのビルで働いている。
課長がどれだけ貴稔の顔を覚えているかはわからないけれど、どこかでばったり会って揉めるようなことがあったらと思うと今から胃が痛い。
逆に貴稔が課長になにかするかもしれない。
これ以上執着するほど私のことを好きでいてくれたとは思わないけれど、逆恨みとかしそうな気がする。
「それならいっそ昨日のことは嘘でしたって言えば？ 『元カレが来て動揺してつい嘘つきました』で済むと思うけど」
「そんなに簡単にいきますか」
「あながちストーカーにならない保証もなかったんだし。誤解させたままでも問題ないと思うけどね」
着信が数十件にメッセージは百件超え、ストーカー予備軍と呼べなくもない。
私にとっては恐怖でしかなかったのだから。
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