嘘の始まり

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涙で崩れた顔を珍しいものでも見るみたいに人が通り過ぎていく。 映画を観たせいだと言い訳するようにパンフレットを抱えて歩いた。 決して振られたから泣いているんじゃない。 私が振ったんだから。 浮気をした貴稔に、私からサヨナラを言った。 本当は少し前から怪しいとは思っていた。 会う前に連絡を入れなければいけないとか、あまり部屋に呼んでくれないとか。 スマホの管理が厳重だとか。 思い返せばきりがない。 化粧室で化粧を直して大きくため息を吐いた。 .
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