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俺たちはまず、水夜の館の食堂に、食べ物と飲み物をテーブルに置くと、椅子に座った。 いつもは向かい合わせに座るのだけれど、今日は隣同士。 時間を見ると、午前2時前。 「なんか疲れたな」 「そうね。眠っていても動いているのと変わりない神経は使ってるんだから、多少なりとも疲れるわ。でも、色々作ったんだもの、明日のお昼にでも食べましょうか」 「うん、水夜の料理美味しいから好き」 水夜は立ち上がってカゴの中のお弁当を出し始めた。 小さめおにぎりが縦に3、横に3、全部で9個入。 それから唐揚げやエビフライなど、揚げ物ばかりを入れた箱。 野菜が多く入った色とりどりの可愛らしいサラダの箱、チーズハンバーグや、ベーコンとほうれん草の炒め物など、炒めるものが多く入った箱とある。 「3人分だから多いな」 「でも、緋朝は男の子だから沢山食べれるでしょ? とりあえず冷蔵庫に入れてくるわ。終わったら今日はもう休みましょう」 「あぁ、俺も手伝う」 重ねた大きめの弁当箱と飲み物を持つと、俺は水夜の後ろをついて行く。 冷蔵庫に全てを詰め込んだあと、俺たちは別々の部屋で休むことにした。 俺は前に自分の部屋として与えて貰った2階の部屋だ。 水夜は隣の部屋。 俺は、着替えてベッドに倒れこむ。 「ふぅー…」 大きく息を吐き出し、何気なく天井を見上げる。 「……え……」 真っ白な天井に、不規則な凹凸と影。 男の顔が、 ある。 顔だけが浮かび上がっているのだ。 男は石膏のように真っ白で、口だけが、黒く穴が開いている。 その口から、黒い液体。 それが糸を引いて落ちて来た。 俺の頬に、その液体がポタリとついて、耳の横に流れていく。
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