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男の目は真っ白なのに…目が合っていると分かる。 今、動いたら、上から襲って来そうな気がして、動けない。 天井からゴボッと洗面台の排水の栓を抜いたような音がした。 その途端、男の開いた口から、再び黒の液体が落ちてきて、今度は、バシャッと顔全面に浴びせられた。 さすがに体が動く。 男の方は見ずに、ベッドから弾けるように飛び下り、急いで部屋の扉を開けた。 廊下に出ても、石膏男は追ってくる事はなく、天井に未だ居るかどうかは分からない。 「……」 とりあえず、ため息をつく。 下を見ると、俺のシャツが血だらけで、顔を拭うと同じように血がベットリと付いてきた。 あの黒いと思っていた液体は血だったんだ。 あの男は何だ、何で俺を。 俺は、水夜を呼ぼうと扉をノックしようとした。 が、扉が勝手に開く。
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