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頭からシャワーを流すと、お湯で薄まった血が絵の具のように排水口に流れていく。
血の、鉄の匂いがして、気持ち悪い。
知らない誰かの血を被ったのだと改めて思う。
頭をガシガシと洗いながら、途中、お湯の勢いが弱くなった。
目を開けると、さっきよりも濃い赤が流れている。
顔を拭い、上を見上げた。
シャワーヘッドが。
人間の、口だった。
顔も何もない、そこに付いている大きく開かれている口から、吐瀉物を吐き出すかの様に、血がガバガバと流れていたのだ。
俺の部屋で見た、天井のあの男の口だと思った。
口の中から覗く整った歯と、ダラリと垂れた舌が流れる血の間から見える。
俺が怯んで後ずさると、男の顔が持ち上がり、俺を見ているような気がした。
何だ?何が言いたい?
そう思って、俺がもう一度手のひらで目元を擦っている間に、普通のシャワーに戻り、熱いお湯が勢いよく出始めた。
何も無かったかのように血はみるみる流されていく。
俺は置いてあったタオルを腰に巻くと、脱衣所に居る水夜を呼んだ。
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