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俺は今、自分の部屋に1人で居るのではなく、水夜と一緒にいる。
やよいさんの所に行くときに2人で横になったあの部屋だ。
水夜は椅子に座り、俺はベッドの縁に座った。
1人でいて、また何をされるか分からないから危険だと水夜が部屋を変えた。
まぁ、確かに1人では怖いと言うのもあったが、水夜もあの石膏男に何かされるかも知れないという不安もあった。
「日記の人かも知れないって言うのはね……」
水夜が話を始め、俺は彼女を見た。
「私がやよいさんを食べたあと、次に行った場所の霊の事なの」
「え……」
「でも、分からないの。実際緋朝が見たものを、私が見たわけじゃないし、そうじゃないかも知れない。でも、話を聞いてると、似ているの。」
水夜は椅子から立ち上がり、膝の上で持っていた俺のタオルを優しく取ると、前髪から落ちかけた水滴を拭いてくれる。
「俺、日記読んだ方がいい?」
やよいさんの件が終わり、もう日記は読まなくていいと思っていた。
俺がどうして別の世界で、水夜が過ごした同じ
時間を体験出来ないのかは不明のままだ。
水夜は、そのことに対して何も言わなかった。
「読まなくていいわ」
俺が怪我をしたり、もしかしたら、やよいさんが悪い霊になりきっていたら…あの世界で閉じ込められていたかも知れない危険もあったのだ。
もう、水夜にしても読ませるつもりはないと思っているに違いない。
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