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「あのな」
俺は水夜をギュッと抱きしめた。
こんなに小さくて細くて柔らかい。
俺なんかより全然弱い存在なのに、俺を守ろうとしているのが、
なんか、切なくて。
愛しくて。
「緋朝?なに?離して」
「離さない。俺も連れてくと言うまで、捕まえててやる」
「な、なに言ってるの?」
水夜が抵抗しようとするから、動けないように更に強く抱きしめる。
「ちょっと、緋朝ってば!あなた一体どうしたの?」
「さっきから言ってるだろ。友達が危険なのに1人でそんな所に行かせる訳にはいかないって」
「ダメよ、危険だわ。あなたは私と違って、霊を食べることができない」
俺は水夜を抱きしめたまま、顔だけを動かし、彼女を見つめる。
水夜は無表情を崩し、戸惑った表情を作っていた。
顔が近いせいか、彼女が目をそらす。
「水夜こそダメだ。俺と一緒じゃないと行かせない」
「離しなさい」
「一緒に行くと言ったらな」
水夜が俺をキッと睨んだ。
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