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「あっ!何するんだよっ」
「読んであげようと思って」
水夜は、上半身を起こして日記をめくる。
「普通に読めるわ!俺を怖がりだと思って!」
「あら?怖がりじゃない」
俺も起き上がり、日記に手を伸ばしたけれど彼女は日記を抱き抱えた。
「じゃあ、一緒に読みましょうよ。私もどんな風に書いたか読み返したいし」
「……」
水夜が俺の隣にピタリと寄って座り直し、俺と自分の腿の上に日記を乗せた。
「この辺りまで読んだのかしら?」
「……うん」
ホントに分かってねぇ。
そんな可愛い事したら、もっと肩を引き寄せたくなるとか。
思わず押し倒したくなる衝動とか。
「緋朝?」
その大きな瞳で俺を見上げるな。
「あぁ、うん。ここ。ここから」
俺が指差した日記に視線を下ろして、
彼女は顔を傾けて、文字に顔を近づけた。
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