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日記の続き……
俺も読まないと……
***
私はもう一度トイレの中を通り抜け、事務所に戻る。
奥の社長室まで来ると、足を止めた。
例の大きな窓に顔があったから。
その顔は、窓ガラスの硬いガラスが、まるで水のように形を変えて顔面の曲線を描いている。
噂通りに、内側から顔が浮き出しているように見える。
私が近づいて、その顔に触れようとするとゴボゴボと血を吐きながら「助けて」と言い、そしてガラスに吸い込まれるように消えた。
助けてとは?
顔の形がなにもなくなってしまったガラスを触ってみたけれど、何もない。
吐かれた血が壁と床に伝い、そこに血溜まりを作っていた。
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