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「っ…はっ…!」 部屋の明るさが、館へ戻ってきたことを理解するけれど、ベッドから起き上がることが出来ない。 だけど、逆に横に寝ていた水夜が飛び起きた。 「緋朝っ!」 動けなかったのは、ベタベタする糸に巻かれたままだったからだ。 水夜は、それ以外に俺に怪我がなく元気そうなのを見ると、ホッとため息をついた。 「糸、とらなくちゃ…タオルで擦っていけるかしら?」 水夜は白いタオルを持ってくると、俺に巻きついている糸を、優しく擦って取り始めた。 「……ダメね、なかなか社長室までたどり着けない」 水夜は糸を取りつつ、ぽそりと言った。 「まぁな、石膏男がウザすぎる。」 「……うん。それより緋朝が蜘蛛に襲われないといいけど」
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